タヌキの動く城

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10年経っても神ゲー!「レイトン教授」シリーズ プレイ記2023

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2023年2月9日、みんな大好き「Nintendo Direct」が開催されました。

www.nintendo.co.jp

スプラトゥーン3」のエキスパンションパスの発表やゼルダの伝説 Tears of the Kingdom」の追加情報などなど、任天堂主力商品の激アツ情報が次々と投入され盛り上がる中、我々は目を疑うような発表を目撃することとなりました。それがこちら。

……エ?

エッ エッ

ニンダイ】「レイトン」シリーズ最新作「レイトン教授と蒸気の新世界」を発表! - GAME Watch

エ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?!?!?!?!


マジで!?!?!?!?!

ということで、なんと2023年の今レイトン教授シリーズ」最新作がNintendo switch版で発表になりました!!ワ〜!!あまりに突然すぎてまだ信じられん。幻かもしれん

レイトン教授の娘であるカトリーちゃんが主人公のスピンオフ的作品は最近も出ていたようですが、レイトン教授自身が主役の新作は「超文明Aの遺産」以降なんと10年ぶり。

かくいう私も中学生時代に友達から「最後の時間旅行」を借りて大ハマりし、その後も第1シリーズ・第2シリーズと夢中でやり込んだ「レイトン教授シリーズ」の大ファン。DSを実家に置いてきてしまったせいで長らく再プレイを諦めていたので、今回の新作発表にはワクワクしまくりです(ルークどうするんだろ……)。そんな興奮冷めやらぬまま、数日Twitterを徘徊していたところ、こんな情報を目撃しました。

え、「レイトン教授」の第1シリーズってスマホ版になってるの??マジ?

 

〜検索〜

なってる

「レイトン教授と不思議な町 EXHD for スマートフォン」をApp Storeで

 

なんとスマホと文明の発達のおかげで、このたび再度「レイトン教授」シリーズをプレイできる環境を手に入れました!!ヤッタ〜!!(ちなみに「逆転裁判」もスマホ版になっているのを発見したのでこれもいずれやります)

ということでかなり久々に「レイトン教授」をプレイして見たわけですが、これがまた面白くて。10代の頃と同じように感動したところ、逆に大人になったからこそ気づけたこと、さらに10年前はあまり考えなかったけど今やってみると「これはどうなの……?」と思ってしまったころなど、色々感想が湧いてきたので、改めてこのシリーズの凄さも含めて書いていきたいなと思います。

 

【とても今更な見出し】

そもそも「レイトン教授」って何作出てるの?

レイトン教授」シリーズは、もともとはゲーム制作会社「レベルファイブ」からNintendo DSのソフトとして発表されました。毎作130問近く用意されているパズルやクイズなど豊富な謎解き要素に加え、ゲーム進行の軸となるストーリーの充実具合も人人気の一つ。キャッチコピーでも「謎解き×映画級!」と謳われていますが、本当に1作やり切ると映画見終わったくらいの充実感がある。キャラデザなどからミステリーだと思われがちですが、どちらかというと近いジャンルはSF。犯人を追い詰めるというよりも、舞台設定そのものに隠された大きな謎を紐解いていくという内容なので、藤子不二雄作品とかちょっとフシギな感じの話が好きな人や、怖いのが苦手な人にもおすすめ。

ちなみに、ゲームの他にも小説やアニメ、映画など色々展開してはいるのですが、「レイトン教授」シリーズと言った場合、基本的には以下の6本を指すと思っていていいと思います。(私も映画は見たけど小説とかは流石に読んでない……)

<第1シリーズ>2007年〜2008年

レイトン教授初登場シリーズ。メインキャラである助手のルーク少年はもちろん、チェルミー警部、ドン・ポールなどが活躍するのはこちら。

<第2シリーズ>2009年〜2013年

大人気だった第1シリーズを受けての、前日譚的な3作(立ち位置はSWのプリクエルと同じ)。レイトン教授とルーク少年の出会いから始まり、レイトン教授の助手として新キャラ・レミが出ているのも特徴。さらに、ヴィランはドン・ポールから新キャラデスコールに。

 

第2シリーズも大人気ではあるのですが、今回スマホアプリ化していたのは第1シリーズだけだったので基本的にはこちらの3本をプレイした感想について書いていきます。

【第1シリーズ ざっくりあらすじ】

レイトン教授シリーズ記念すべき第1作。とある大富豪の遺産相続の鍵となる「黄金のリンゴ」を探して欲しいという内容の手紙を受け取ったレイトン教授は、その大富豪が暮らす街へと向かう。しかし、街の奥にそびえ立つ謎の塔や、その存在を恐る街の人々の不審な動きなど何やら怪しい。ついには、大富豪の屋敷で殺人事件が起きてしまう。

恩師から開けると人が死ぬ「悪魔の箱」を手に入れたという報せを受けたレイトン。急いで恩師の元を尋ねると彼はすでに死んでおり「悪魔の箱」は奪い去られた後。唯一の手がかりであった豪華列車のチケットを頼りに、犯人を追いかけてとある田舎町へ向かうが……

レイトンの元に「10年後のルーク」を名乗る人物から「助けてほしい」という一通の手紙が届く。指定された時計店を尋ねると、急に大きな衝撃が!外に出てみるとなんとそこは悪のレイトンが支配する10年後のロンドンになっていた。さらに、そこには過去に死んだはずの恋人・クレアの姿も。

【大人がやっても絶妙な難易度の良問揃い】

レイトン教授」シリーズ最大の魅力は、なんといっても随所に散りばめられたナゾ解きの面白さ。ストーリー進行の要所要所はもちろん、住民たちとの会話や街中の至る所に隠された謎などを探していく作業自体も楽しい。

全年齢向けゲームだからチョロい問題ばかりかと思いきや、ひっかけ問題はあるは純粋に複雑な計算問題はあるわルービックキューブ的なパズルはあるわで、まじでちゃんと考えないと大人でも全〜然わからない。ちなみに今回10年ぶりにプレイして、まあまあいい歳の大人になったはずが、レイトン先生に申し訳ないくらい解けなかった(不正解が出るたびにレイトン先生が「英国紳士の名折れだ……」というのでマジで申し訳ない気持ちになる)というか現役プレイしてた学生時代の方が全然ノーミスで解けていた気がする。自分の脳の衰えを実感した。脳トレしましょう。

さらに、久々にやってみて改めて良さを感じたのが、解答画面やヒントなど随所で出会うコメントたち。ちゃんと解答に向けたヒントをくれるだけでなく、「もう一度よく考えてみよう」「これはヒントを見る問題じゃないよ」と極力自力で答えに辿り着かせようとしてくれている適度な放任具合が、大人になった今とても心地よかった。最近だと分からないことはなんでもすぐスマホで調べられるし、なんなら世の中もスマホで調べることを前提としたコンテンツばっかりだから、こうやって自分の力でちゃんと考える・考えられるを信じてもらえるって嬉しいな〜

ちなみに、おそらくこれらの文章は、本作のクイズ監修である多湖輝先生が書かれたものだと思うのですが、「頭の体操」などの数々のクイズ本を執筆し「諸悪の根源は個人個人の頭の固さにある」という独自の価値観を大切にしていているからこその距離感なのかも、と思ったりしました。

※ちなみに多湖先生は2016年にお亡くなりになっており、第1シリーズのみの監修です

togetter.com

【謎めいた「街」の構成要素である不思議な住民たち】

個人的に「レイトン教授」シリーズをやるときに楽しみにしているのが、街の住民たちとの交流。どことなく不気味だったり、オドオドしていたり、傲慢だったり、いけすかなさとかわいげの配分が絶妙で非常にいい味を出している。何より、誰一人信用できる感じがしないのがいい。

彼らの言動はとにかく怪しく、全員が部外者であるレイトンたちに何かを隠しているような雰囲気を醸し出す。そうした彼らのおかしな行動は、物語のプロットを進行させる上での「中くらいの謎」として随所に散りばめられ、プレイヤーが解く「小さな謎」と、物語の主軸となる「街全体を包む大きな謎」の架け橋として機能する。つまり彼ら街の人たちは、個々である以上に、大きな謎を孕んだ街の細胞の一つであるような存在なのだ。このあたりに毎回ゾクゾクさせられる。ちょっと因習村っぽいし。

そんな彼らは、いわゆるモブキャラという扱いではあるんですが、全員に専用イラストがあり、ゲーム内のおまけコンテンツでは各キャラの詳細設定もみれるなどなかなかの力の入れたメイキングがされている。モブキャラ同士の関係性など地味に設定があり、本当に知らない街に来てしまったかのような気分にさせられる。ちなみに本編にマジで絡んでこない謎の人間がいたりするのも気味が悪くていい。全員が役に立つために生まれてきてるわけじゃないもんな。懐の広いゲームだ。

個人的に好みなのは、「最後の時間旅行」に出てくる宿屋の孫娘ベッキーちゃん。かわいい。でも、一体いつから彼女があの街に住んでいたのか分からないのが怖い。

↓ちなみに彼らの生みの親は「イナズマイレブン」や「妖怪ウォッチ」なども手がけるイラストレーターの長野拓造さん。作風の使い分けが凄すぎる〜

www.instagram.com

そんな愛すべき胡散臭い住人たちですが、彼らの「いい人かもしれないし、悪い人かもしれない」というキャラメイクは、メインストーリーを作る上での世界観と重なるのではないかと思っている。先ほどもチラッと書いたが「レイトン教授」シリーズは、ミステリーというよりどちらかというとSF的な展開が多い作品。誰か一人巨悪がいる、というわけではなく時間のトリックや舞台そのものの秘密、さらには個々の小さな善意や勘違い、悲劇などが複雑に絡み合って大きな謎が生まれるという展開。いわゆる「悪者」がストーリー上生まれにくい。

特に「悪魔の箱」や「最後の時間旅行」は、最終的にレイトンと対峙することになる敵がいるにはいるが、彼らにも悲しい過去があり、それを知った上だとかなり辛い結末を迎えることになる。確かに彼らがやったことはまあまあな悪事ではあるんですが、正直それ以上に同情してしまう気持ちの方が大きい。

「探偵モノ」と聞くとつい「結局誰が悪かったのか」で結末を求めてしまいがちだが、本作では、巨悪が存在するわけではなく、モブからメインストーリーに至るまで、誰もが加害者にも被害者にもなり得る、というビターな語り口が徹底されていることで、大人から子供まで広くヒットを生んだのではないかと思う。

ちなみに10年前にも同じシナリオでプレイしているはずなので、流石に内容を覚えているかと思いましたが、マジで何にも思い出せず3作とも「エ〜〜!?」と新鮮に驚きながらプレイしました。脳細胞マジで終わってるゥ〜

【何なら本編よりもやってたミニゲーム

ここまでメインとなる「レイトン教授」シリーズの楽しみ方を紹介してきたわけだが、個人的に実は一番ハマったのが、ミニゲーム。現役プレイ時はあまり興味が持てなくてスルーしてしまっていたんですが、今やるとマジで面白い。なんなら本編より一生懸命やってたかもしれん。

特に面白かったのが、2作目「悪魔の箱」でプレイできる「ハーブティ」のミニゲーム。住民からもらえる9個の食材から3つを組み合わせてハーブティ錬成するんですが、これがも〜〜〜〜全然うまくいかない。しかもうまくいかないとレイトン先生とルークからけちょんけちょんに貶されるのでメチャクチャ笑ってしまった。挙句の果てには「泥水」とか言われるし。ハーブティ作ってて泥水ができるわけねえだろ、全部飲めオラッ!

あと2作目ではハムスターをダイエットさせるプログラミング風のゲームがあったんですが、ハムスターのボイスが謎に関西弁で「ワイ走るの嫌いやね〜ん」とか言い始めて世界観どないなってんでしょうかと思った。イギリスにも関西弁みたいな訛りがあるのかしら。不評だったのか3作目では、同じボイスの人が任意タッチのキャラに変更になっており、なんか、それはそれで寂しかった&プロデューサーよっぽど気に入ってたんだな……と思った。

【2023年に聞くと、やや引っかかる「英国紳士」というキーワード】

さて、ここまでレイトン教授を10年ぶりに再プレイしてみて改めて感動したことや色褪せない面白さなどについて書いてきましたが、2023年になったからかちょっと気になるところもありました。

それが、ヒロインとして登場するアロマさんを始めとした女性キャラ周り。さらに、それに関連するレイトン教授の口ぐせ「英国紳士」周りについて。

〜注意:ここから作品のネタバレを含みます〜

 

 

 

 

 

まずアロマさんですが、彼女は第1作「不思議な街」で、父親の作った大きなカラクリの街の謎が暴かれた後、レイトンやルークに連れられてロンドンに移り住みます。彼女のことをとても大切に思っていた父親によって塔に住まわされ、父の死後、そこから助け出した人と共に暮らすように言いつけられていたためです(これもこれでどうなのよ……人権……)

アロマさんは非常に奥ゆかしいいわゆるお嬢様で、自分を助け出してくれたレイトン先生のことが大好き。どんなに危険な冒険も一緒についていこうとします。しかし、レイトン先生もルークも「女性を危険な目に合わせたくないから」と連れて行くことに乗り気ではありません。まあその理屈自体は分からんでもないのですが、アロマをハブにするときのレイトンとルークの挙動がまあ酷い。

特に、3作目では、アロマから「置いていかないで!」と言われ「分かった、連れて行く」と約束した直後、彼女が台所に向かった一瞬のすきにアロマさんを置き去りにして調査に向かってしまいます。ヒデ〜〜〜。もちろんアロマさんは、置き去りにされたことに気づき呆然とします。レイトンとルークのボーイズクラブ的なノリが強調され、女が冒険に加わることを決してよしとしません。これは非常に古いな〜と思いました。

加えて、40も近いであろうドン・ポールが10代そこらのアロマさんに対して「ワシはアロマちゃんと一緒がいい」と下心を見せる、アロマさんが最後悪者に連れ去れたりと古典的なトロフィーの役割を背負わされるなど、なかなか女性描写については厳しい箇所がチラホラ。

アロマさんだけではなく、3作目でその存在が明らかになったレイトンの恋人・クレアについてもかなり重要な立ち位置である割には、軽視されているように感じた。彼女のパーソナリティではなく、彼女が「たくさんの男性から言い寄られる存在」であることだけが物語に寄与しており、結局はメインとなる男たちの「クレアを愛したから」という動機のためだけに使われてた印象。他の男たちが人物として描かれていたのに対し、クレアはあくまで舞台装置としてしか動いていなかった。そして最後には死んでしまうというまさに典型的な「冷蔵庫の女」。

さらに、レイトンの決め台詞である「英国紳士」も気になった。特に「英国紳士ならば女性に優しくしなくてはいけないよ」というセリフですが、これは2023年に聞くとなかなかしんどい。少なくとも残念ながらカッコイイ台詞ではない。自動車学校の筆記みたいなこと言うけど、英国紳士なら男女関係なくみんなに優しくしてください。「女には優しくしろ、男には優しくしなくていい」という文化はややトキシックマスキュリニティを感じざるを得ない。男だって無礼な女には無礼だって言っていいんですよ。

と、いろいろ言いましたがあくまで2007年のゲームだし、これらの女性描写問題は、第2シリーズの方でだいぶ改善していたような記憶がある(あんまり覚えてないけど)。久々にプレイしてみて世の中の変化や、自分自身の感性の変化などを感じるな〜と思った内容でした。

全然話違うけどレイトン教授の「年下の女からやたら言い寄られるけど、過去に才能あふれるサバサバした地味女と築いた深い恋愛関係の中で一生を生きていくと決めてそう」という人物造形はマジで解釈一致。絶対敵わね〜〜んだ、こういうタイプの女に惚れてしまったヤツには……

【10年ぶりの3作クリア、その結果……】

首を痛めました。
あまりに面白くて三日三晩ぶっ続けてプレイしていた結果、肩と首を完全におかしくしてしまい下はおろか横も向けません。当然寝返りも打てないし、朝起きると激痛が走る。10年前と違って「スマホなのでいつでもどこでもできる」「親の監視がない」「体が衰えた」のトリプルコンボをくらい、色んな意味でもう若くないことを痛感している。レイトン教授、めっちゃ面白いからぜひプレイしてもらいたいですが、皆さんも体に気をつけてね!!!!